どうも!ぎたぺん(Twitter)です!
今回は、今ギタリストが気になって仕方ない機材第1位の Neural DSP – Quad Cortex を調査していこうと思います。
NAMM前に発表され話題を呼び、開催中は試奏の列が途切れることがなかったみたいですね。
Quad Cortex、何がそんなに話題を呼んでいるのかというと、やはりAI搭載という点ではないでしょうか。
その他にも、大画面タッチパネルや超軽量ボディなど、最近のギタープロセッサーとしての流行に沿いつつ新しい要素をプラスしているような感じですね。
(注:公式はプロセッサーではなく”モデラー”と謳っています)
では早速まとめていきましょう!
1. Neural DSP って?
DAW経験者なら知っている人もいるかと思いますが、主にプラグインエフェクトを展開しているブランドです。
Animals As Leaders のギタリスト Tosin Abasi や 元Periphery のベーシスト Adam “Nolly” Getgood といった超絶ギタリスト/ベーシストのシグネイチャーアンププラグインが主な製品です。
僕自身は使ったことないですが、デモ動画や評判を聞く限りだとかなり高品質に仕上がってるようです。
公式HPには、アルゴリズム研究やディープラーニング、拡張現実というワードが使われており、最先端技術の応用にかなり力を入れているようです。
また、それを音楽に取り入れることを自らのミッションだと謳っており、未来を見据えた製品開発という点で他社よりも頭一つ抜けているように感じます。
AIや機械学習といった技術は、多くの分野で取り入れられ実用化も進んでいますが、彼らが楽器業界における第一人者となるのでしょうか。
いずれにしても、今後の製品展開が楽しみですね!
2. Quad Cortex の特徴
冒頭でも述べましたが、やはり一番の特徴はAI搭載という点でしょう。
AIと聞いてなんだかすごそうな感じはしますが、実際何をしているのか。
まだ情報が少なく表面的なことしかわかりませんが、公式HPにはこんなことが書かれています。
Equipped with our unique biomimetic AI technology, Quad Cortex can learn and replicate the sonic characteristics of any physical amplifier, overdrive, and cabinet with unprecedented accuracy.
えー、翻訳しますとですね、「独自のバイオミメティックAIテクノロジーを搭載した Quad Cortex は、物理アンプ、オーバードライブ、キャビネットの音響特性をかつてない精度で学習および複製できます。」だそうです。
これと似たような機能として Kemper のプロファイリングが有名ですが、それは複製対象の伝達関数を求めるもの。
伝達関数とは、あるシステムの入出力の関係を表すもので、楽器に適用すると、”入力=ギターの信号、出力=アンプやエフェクトからの出音”、となります。
つまり、そのアンプが入力に対して(特性的に)どんな影響を与えているかを測定しているのです。
ですから、伝達関数さえ分かってしまえば、どんなアンプだってコピーできちゃう。(すごい!)
でも Kemper さんには弱点があります。
それは、伝達関数を求めるには基本的に線形なシステムであることが前提である点です。
超ザックリ言うと「A x X = B」で表せるシステムですね。(Aは入力、Bは出力)
アンプはもちろん、歪みエフェクトもこれに該当します。
逆に何が該当しないかというと、時間的に特性が変化するものです。
例えばコーラスやフェイザーなどのモジュレーション系です。
「揺れている=特性が変化している」ので、ある点では「A x X = B」という式で表せたとしても、別の点ではその式では表せないのです。(というか計算がかなり難しい)
(まあ、Kemper はアンプをコピーするのがコンセプトなので問題ないんですが)
で、Quad Cortex はどうなんだという話。
HPの文章では「非線形でもコピーできます!」みたいな文言は見当たりませんね。
機械学習を用いているらしく、純粋に伝達関数を求めるのなら学習する意味がなくなりますので、やはり Kemper のプロファイリングとは仕組みが違いそうですね。
複製の方法や学習したデータをどのように複製に生かすのかが気になります。
まあ、とにかく一回使ってみたいですよね!
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そのなんかすごそうなAIアルゴリズムを支えるのは SHARC というオーディオ向けのチップで、製品名の通りクアッドコアの2.0GHzという、エフェクターとしてはモンスター級のパワーを持っています。
どのぐらいのパワーかと言いますと、コア数とクロック周波数だけで見ると “iPhone 7” とほぼ同じです。(iPhone 7 は 4コア/2.33GHz)
iPhone 7 と同じCPUを音声処理(とディスプレイ表示)のためだけに使うって純粋にやべえ。
デモ動画を見ましたが、タッチに対する反応速度や画面のぬるぬる度合いは、悪くはなさそう。
HeadRush の Pedalboard と同じレベルだと思います。
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その他の特徴としては、アンプやエフェクトの数が多い(という今後だんだん増えていく)だとか、IRを共有出来るだとか、そこら辺は他のフロア型プロセッサーと比べて特筆すべき点はなさそうです。
ただ一点、それらと大きく異なるのは、物理的なサイズがとにかく小さくて軽いこと。
「横x縦x高さ = 29x19x4.8 (cm)」、重さは「1.6kg」
ギグバッグに入るわそれなりに軽いわで取り回しは抜群だと思います。
各メーカーのフロア型ギタープロセッサー(フラグシップ)と比較するとこんな感じ↓↓↓
製品名 | サイズ(WxDxH / mm) | 重さ(g) |
Neural DSP – Quad Cortex | 290 x 190 x 48 | 1600 |
Kemper – PROFILER STAGE | 470 x 260 x 85 | 4600 |
Fractal Audio System – FX8 MARK Ⅱ | 409 x 255 x 100 | 5200 |
Line6 – Helix Floor | 560 x 300 x 90 | 6600 |
HEADRUSH – PEDALBOARD | 599 x 284 x 74 | 7100 |
BOSS – GT-1000 | 462 x 248 x 70 | 3600 |
MOOER – GE300 | 410 x 201 x 62 | 3000 |
ご覧ください、圧倒的なコンパクトさを。
小さいので、操作子も少なく使いやすさが劣る可能性もありますが、フラグシップモデルとしては他社とは明らかに一線を画すサイズ感です。
もちろん、他社でも Quad Cortex と同じようなサイズの製品はたくさんありますよ。
しかし、それらはいずれもそのシリーズの下位モデルです。
フラグシップモデルに比べ一部の機能が使えなかったり、エフェクトの数が少なかったりなどいろいろ劣る部分があります。
一方、Quad Cortex はどうでしょう。
シリーズ展開されていないのでフラグシップという言い方は語弊があるかもしれませんが、コンテンツ的には間違いなく他社のフラグシップと同等です。
他社のフラグシップモデルは、ギグバッグになんて到底入りませんし、重さも5kg超えも普通です。
そう考えると、この取り回しやすさは異次元級です。
3. まとめ
フロア型ギタープロセッサーがひしめく2020年。
各メーカー似たり寄ったりな製品が多い中で、市場に一石を投じる製品となりそうな予感です。
高性能CPUやAIを搭載していて音的に申し分なさそうですが、Neural DSP としては初めてのハードウェア製品なので、実際の使用感や使いやすさが気になりますね。
とはいえ、Neural DSP のCEOはベース用アンプ/エフェクターで有名な Darkglass のCEOでもあるので、心配はないでしょう。
ちなみに、お値段は $1600、日本円にして18万円弱です。
日本の代理店を通ると20万以上になるでしょう。
Neural DSP では現在プリオーダーを受け付けており、頭金として $200 支払うことで注文できます。
なお、2020年1月20日現在、プリオーダーは生産の第2ロットに対して行われています。(お届けは11月予定)
第1ロットの1000台はすでに完売しているとのことで、ギタリスト/ベーシストからの注目の高さが伺えますね。
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というわけで、今回は NAMM2020で話題の最新モデラー Neural DSP – Quad Cortex を調査しました。
発売が待ち遠しい!!
ではまた。